初心

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ことわざの「三度の飯より好き」とは、1日に3回ほどある大切な食事が、どうでもよくなるほど何かに熱中していることをいう。この言葉のようにある人が15歳だった頃、漫画を描くことにすべてのエネルギーを注いでいた。それは漫画家になろうと決心したわけではない。ハッキリとした理由がわからなくても、とにかく楽しくて楽しくて、時を忘れて夢中になっていた。

それからしばらくして、定期購読していた漫画の読者交流欄に、近県の同人誌に寄稿募集の文字に心動かされる。格好の腕試しのチャンス。これはやるしかない!これまで家族しか見ていなかった漫画を、それなりにキャリアのある人たちに差し出し、自らの力量を計るために挑戦することにした。何もかもが初めてのこと。正直、失うものがないため、何も怖くはなかった。むしろの評価されることによって、課題や修正点が明らかにすることで、絵が上達していくことに手応えを感じる。率直な厳しい意見を耳にすることで、自分自身の個性が何かがわかって、向上するための課題を浮き彫りにできた。そして、漫画を描くことの楽しさは、ただ単純に出来上がればいいから、前作より面白くに意識が大きく変化していった。

そう、生の声に触れたことで潜在能力が刺激された。独りよがりになりがちな作品制作に、目に見えない緊張感を感じるようになって、それまで以上に深く表現することを求めるようになった。まずは自分なりにベストを尽くそう。それを真剣に観てくれる人たちがいるのだから、思いっきりやれることをやり切って制作しよう。それ以上のことは批評で気が付けばいい。例え苦手なことを指摘されても、成長する糧だと真摯に取り組めば、新しい自分の才能の開花に繋がっていく。つまり自分らしさを知るために、周囲の人たちとチームになって、向上するためのコミニュティーがあった。やはり意志ある人に道は開ける。振り返れば未来への創作活動への試金石を得る出来事だったのだろう。