ローカル

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今の日本列島はなんだかんだ言っても生活水準が高い。例え地方都市でもインフラは整備され、普通の人でもある程度のレベルで暮らしていける。ネット環境も良くなって買い物の選択肢は都会との差がなくなった。さらに全国チェーンのコンビニや外食産業、衣料品店などの進出で、田舎にはびこる無意味な疎外感は緩和されている。いわゆる経済的に考えればギリギリ合格かもしれない。しかし、地方にしかない独自性の価値感から考えると全くの不合格。どこでも見かけるような風景が増えて、その土地に伝わる個性がなくなってしまった。自分の街でありながら違和感を覚えてしまうほど、都会っぽさにまやかされているのかもしれない。もっともっと田舎らしく、ローカルルールを大事にしたい。マニュアルやノウハウがなくても、力づくに道なき道を切り拓いて、ここにしかない文化を築くために、純粋な感性を大事にしよう。

ところで「東京か、パリか、ニューヨークでなくてはという考え方は昔日のものだと思っている。これはあくまで私の年齢で言えることで、若い人はそうでなく、別の考えを持っているかもしれぬが、私は私のことだけを考え行動に移せばよいのである。今からなおさらそんな時代になると思う」という香月泰男画伯の言葉だ。この世の中には都会も田舎もない。それぞれの面白さを活かしていこう。どっちが良いなんて比較してはいけない。様々な生き方があっていいはず。特に画家として生きるのなら当たり前。どこに住もうと画家でいることができる。つまり自分らしい環境であれば、どんな場所であっても問題はない。画伯は戦争に巻き込まれて絵を自由に描けない時代があったからこそ、どこで描いても絵描きは絵描きだと信念が生まれて、ずっと故郷で創作することに没頭できたのだろう。便利ことに溺れず、自分自身を知るために、不自由なことに美を見出そう!

■HEART2019の関連企画 県美界隈展 『花』、Y氏とともに 2020年2月13日(木)~3月1日(日) 11:00-18:00 火水定休