再発見

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小学生くらいまでだったら、好きなことはあれこれと悩まずに、直感で決めてしまいやすい。まだまだ世の中をよく知らないため、初めて観たり触れたりすることが多く、新鮮な気持ちで興味を持つことができるのだ。これが中学生や高校生くらいになったら、それなりに経験値が高くなるので、やや瞬発力が鈍くなっていく。「いったい、何が本気で好きなのだろうか?」と考えては迷うようになり、さらに思春期で自意識過剰の時期と相まって、カッコ良さを気にして踏み出す力が弱まっていく。ついには何が好きなのかを考えることが面倒くさくなる。すべてが同時進行で成長していかない時代。不確実で不透明なバランス悪い時代。しかし、不安定だからこそ、どのようにだって伸びていく。いろんなことが複雑に絡み合って、血となり肉となり能力を育てる。その時に何が役立って何が役立たないのかはわからない。無条件の若さとは、こういうものだと思う。

ちなみに、私は50代になってから好きなことに出会う機会が増えてきた。それは再発見することの面白さに気が付いたから。実は年相応の老化現象もあって、もの忘れをすることが増えた一方、にわか知識で記憶していたことが削除され、これまでとひと味違った感覚で楽しんでいる。もし、これまでの知識に縛られていたら、そこで完結されて永久凍土になるもの。そうではなく、時代は変わり文明も進歩する社会に生きているのだから、老化ということをアドバンテージにして、もう一度一から勉強して楽しでいくこと。初心に戻って「なぜだろう?」と感じて面白がっていくのだ。そう、このような新しい発見、または再発見をワクワクしながら生きていく、素敵な年齢になったということでしょう。

■ギャラリーナカノ42周年記念展 よにたち、よにたつ 2020年3月14日(土)~29日(日) 11:00-18:00 火水定休 出展者 加藤智子、佐々木範子、難波瑞穂、伴裕子、村上真実