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イギリスのことわざに「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」がある。たまたまこの言葉を目にする機会があったのだが、思わず納得してしまうほど核心を突いたものだと思った。なぜなら美術家を目指す人に気付いたことを中心に、いろんなアドバイスをきめ細やかに語っても、実際のところ水を飲むかどうかは本人次第。どれだけ美術に渇望しているかによって、それからの行動については大きく違ってくるのだ。

もちろん、私の言うことをそれなりに聴いたら、なんとかやっているはずだなんて、おこがましいことはまったく考えていない。「それはおかしいですよ」と反論してもらい、お互いに率直な意見を交換し合い、議論を深めていくことが大切なのだ。一方的に言われることに甘えたら、それに依存して自立することができなくなる。本人が真面目に美術を学んでいこうと思わなければ、他の人がどんなに叱咤激励をしたとしても馬の耳に念仏になることだろう。

つまり、美術を本気になってやりたい人なら、ハングリー精神を失ってはいけない。ちょっとやそっと上手くいっても、謙虚な気持ちでチャレンジャー精神でいよう!人は誰でも早く認められたいという欲望に振り回されてやすいもの。一足飛びに高い評価を得ようと安易なことを考えて墓穴を掘ってしまうのだ。特にSNSの発達した現代社会では、広いけれど浅くなりがちなコミュニティーのやり取りに満足する人たちがいる。「いいね!」の数を成果だと勘違いして、今現在の実力だ信じてしまう人もいる。判断する基準を見誤ってはならない。いつも真ん中を貫く気持ちでいよう!左右のバランスのとれた心で、何者に媚びずに偏らぬまま、自分自身の信念を貫いていくのだ。そのためには多くの知恵に触れる必要がある。たくさんの英知の水を飲んで成長させていくしかない。我以外皆我師という真理の生命の水を求めていきましょう!