神の子、不思議な子

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プロ野球の名将 野村克也氏の有名な語録に「マー君、神の子、不思議な子」がある。これは田中将大投手(現ヤンキース)がルーキーだった2007年に、4回で5失点と崩れながらも勝利投手になった神懸かり的な力を形容したもの。ちなみにこの言葉には続きがあって、「何点取られるか投げ続けさせたら、天から神が降りてきた。先祖代々、何かあるんだろうな。そういう星の下に生まれている」と、しみじみと感心しながら語っていた

この言葉はことわざの「積善の家には必ず余慶あり」と同じ意味だ。善行を積み重ねた家は、その報いとして子孫に必ず幸福が訪れてくるもの。一見、華やかに活躍できる選手は野球の才能だけではない。チームメイトがなんとかしてやろうと思う豊かな人間力が備わっている。本気になって負かしてはいけないとバックアップしたくなる魅力があるのだ。いわゆる学校教育では身に付かないもの。先祖代々からの家風によっていつの間にか躾けられたのだろう。

ところで、昨日より吉田朱里さんの3年連続になる個展が始まった。私は6年前に彼女と知り合い、その一番の武器で純度の高い天然キャラクターに期待した。とにかく、いつも何かに疑問を持って生きている。普通の人に見えないものを見つけては考えてしまう。その原因は一般的な常識に疎いため、どこかでズレが発生していくから。ただし、世の中に無理矢理に馴染もうとしなかっただけ。それは個性だからいいと家族に尊重され、また、友人知人たちにも受け入れてもらい、すくすくと個性を伸ばすことができた。だからこれからもその素直な気持ちを羅針盤にして、こどものような不思議な感性のまま美術と戯れていきましょう!