住めば都

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「東京か、パリか、ニューヨークでなくてはという考え方は昔日のものだと思っている。これはあくまで私の年齢で言えることで、若い人はそうでなく、別の考えを持っているかもしれぬが、私は私のことだけを考え行動に移せばよいのである。今からなおさらそんな時代になると思う」という郷土の画家 香月泰男先生の名言がある。

ちなみにこの言葉は54年前のもの。当時、山口県をはじめ美術館のない地方都市の方が多く、先端的なアートから海外の一級品に至るまで、大都市でなければ、鑑賞や情報に触れることができず、まさに芸術の都はその名のとおり存在だ。そんな時代に県北西部の片田舎でぶれることなく、創作意欲を掻き立てて次々に作品を発表していく。「絵かきは仕事だけ見てもらえば、それでよい。作者自身はどこにいてもよいのである」という信念を貫いていったのだ。

あれから時は流れてネットの時代へ。世界へ向かい自己アピールや必要な人材との出会いを可能にした。もはや地方だから駄目なんて言ってられない。どこからでもチャンスがある。先月、イラストレーターのりおた君は、メジャーリーグミネソタ・ツインズ前田健太投手がチームメイトの選手のイラストTシャツ制作する企画に応募して採用される。それまでも東京の雑誌社の仕事をするなど、フィールドワークは広かったけれど、とうとう海外まで大きく踏み出す。だけど、彼も香月先生と同じ志だ。地元を愛して誇りを持っている。どうか世界中を作品が旅をして、山口県知名度を上げてください!