革命家

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「(仲間や協力者に無理だと言われるものを、どうやって引き込んで乗り切ったのか)まず自分がやる、自分がやってみる。私、若い頃の財産って無知なことだった。どうしたらできるかなんて全く知らなかったけど、なぜ、できないのかもよくわからなかったから、実際にやってみたらできた。

もちろん、クオリティは低いけど、できないと言われてるものを、ためらわないでやっていけば、できる切っ掛けが見つかる。その切っ掛けを職人さんたちが見た時に俺たちに任せろとなるわけ。現場で先頭を切ってどんどんやれば、職人さんたちの見る目や接する態度が変わって、不可能を可能にしようという機運が盛り上がっていく」というのは、NHK Eテレ SWITCHインタビュー 達人達に出演した和紙作家・堀木エリ子さんの言葉である。

2009年11月、私は山口県立美術館で行われた「堀木エリ子の世界展 和紙から生まれる祈り」の開会式の後にお見かけした時に、人を惹きつける熱力の高いオーラが印象的だった。とにかく、人を納得させる魅力的な話し方で自らの熱い思いを伝えようとしている。「やっぱり夢は語らないといけないので、語ることについてはしょっちゅう、どうやったらわかってもらえるのかなって、それをずっと考えています。で、どうやったらわかってあげられるかなっていうのも考えています。なにを考えてらっしゃるのかなって、まわりの人たちに対しても。常にツンツン、ツンツンやっています(笑)」と番組で言われていたように、鑑賞する人たちに気さくに語りかけていた。あらためて、手漉き和紙の世界に革命を起こした人だと感心したのだった。