「なるほど!」

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「友達に好かれようなどと思わず、友達から孤立してもいいと腹をきめて、自分を貫いていけば、本当の意味でみんなに喜ばれる人間になれる」というのは、岡本太郎の名言である。

この夏、ある若い美術家と会話していた時に、「なるほど!」とうなることがあった。それはみんなに好きだと言われるものは目指さない。一部のコアなファンに支持されるものを目指していく。なぜなら、みんなが好きだと言われるものは、そこそこのクオリティーがあって、そこそこの面白さはあるけれど、同じようなものがたくさんあるから、これでなくてはならない動機に繋がらない。その反対に一部のコアなファンに支持されるものは、高い熱量でこだわってくれるため、流行り廃りに左右されずに一定層を維持しながら活動できるため、希少価値がある世界に挑戦していけるはず。だからこちらを目指した方がいいという考え方を教えてもらった。

それ以来、私は若い人の作品を観る目が寛容になった。もともと、同じ年齢くらいの人よりは柔らかいつもりだが、昭和という時代に生まれたためか、個人の自由な発想を認めず、全体と同じことを良しとするイズムが、どこか抜けきっていない。新しい美術作品が生まれてくるためには、多様な価値観から独自性を発見することであって、現在あるものをそのまま受け継いだ画一性な表現にならないことだ。つまり、表現の方法において多様であること。あらゆることにおいて唯我独尊であること。マイナーを恐れずに個性的であることが大切になるのだ。