最先端

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山口情報芸実センター(通称 YCAM)が開館してから丸18年。あのオープニング企画「飛び交う光のメッセージ」の作品は今でも脳裏に焼き付いている。ただし、私にとっては負の遺産と言うべきもの。なぜなら、すぐそばに済生会病院があるのにも関わらず、一晩中、サーチライトで夜空を照らすパフォーマンスに、怒り心頭になっている方々が多く、代わる代わるお会いする人にやるせない気持ちをよく告げられていたからだ。当時、市内のインターネットの環境はまだまだ状況で、メディアアートを理解する手前の段階すら達していないのに、それを周知する丁寧なアナウンスもないため、税金を使ってやることかという不平不満を爆発させていたのだった。

あれから年月が経って、スマホタブレット、パソコンなどの機器を複数所有する人も増えて、ユーチューブやインスタグラムなどによる個人のデジタル表現が一般的に普及して、メディアアートはぐっと身近な存在になってきている。自分自身で作った動画や画像をSNSを通じて次々に発表していって、もう生活の中で欠かすことのできない存在になっている人が多い。つまり、最初の頃に観たデジタル表現のレベルより、今現在はスマホの機能が劇的によくなっているため、誰でも手軽にメディアアートに参加できる時代になったのだ。その中、素人ではできないプロの圧倒的な世界観を観せつけられた。さすがなんて言えば失礼になるくらいのさすがだった。これから併設する図書館に行くたびに触れて、最先端のアートを楽しんでみよう。