美術談義

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「変えようと思っても、変わらないのは事実なんだ。だけど、挑むということで、ぼく自身が生きがいをつらぬいている」というのは岡本太郎の言葉だ。当時、日本美術界の旧態依然とした体質ままで、そのことについては認めつつも、かと言って決して負けてはいけないという、むき出しの反骨精神を感じさせてくれる。立ち向かった結果がどうなろうとも、常に激しく意欲的に挑戦することこそが、自分らしく生きること証だと言いたいのだと思う。

ところで、この2日間、開幕したばかりの県美展について、来店された方たちとあれこれと談義する。どうしたらもっと面白くなるのかや現行の運営方法でいいのかなど、それぞれの持論を自由に語り合うながら、理想のスタイルを模索しながら勝手に盛り上がっている。際のところ、答えがないのも答えのひとつなんて言うけど、実ハッキリとした答えは求めようがないので、誰の意見も有意義であって納得させられることが多い。やはり一番大切なのは、最善について問い続けること。理想の県美展について知恵を出し合えば、それ自体に存在意義があるものになるはずだ。

つまり、県美展という県民にとって最高の美術祭典の時に、当然なすべき美術談義をなさないで漠然と過ごしてはいけない。せっかくのこの機会に小さなこともでいいから自分の思っていることを語って楽しむのだ。しっかりした内容にならなくてもいい。価値あるものにならなくてもいい。ただただ感じていること言葉にしていく。それによってのみ発見できることがあって、これから取り組むことが少しでもわかれば、美術への愛情が深まっていくだろう。