感謝

f:id:gallerynakano:20211205233532j:plain


8年前の12月5日より、ギャラリーでは臼杵万理実さんの人生初の個展と、その年のGWに行ったポストカードコンテストの上位入賞者によるグループ展を同時に開催する。この時に参加した5名の年齢は20代ばかり。さまざまなことでまだまだ未熟な面々による新しい試みだったが、上手くいくかどうかの不安よりも、ワクワクした期待感に満ちていた。思い起こすとこの時から若い人たちの作品展の数が年々増えていく。まさにここがターニングポイント。価値観が変化する社会にも後押しされて、自然のなりゆきとして広がっていった。

ただし、偶然ではない。それなりに轍を踏んできた。実績のある美術家に教えを乞う。ざっくばらんに体験談や助言などを語っていただく。特に吉村芳生さんには数えきれないくらいはっぱをかけてもらった。当時、飛ぶ鳥を落す勢いで、若者たちにとって憧れの存在だったから、ひと言だけ声をかけられても、身震いして喜ぶ姿を頻繁に目撃する。ワラをもすがる思いの若者に勇気を与え続けた。

2013年12月6日の早朝、そんな大恩人の訃報に接する。あまりにも突然のことで言葉を失った。唯一無二の人だけに落胆は半端じゃない。それでもやらなきゃいけないことがある。目をかけてもらった臼杵さんたちの作品展をやらねばならない。みんなで手を合わせて恩送りすることに決心したのだった。本当にこれでよかったのかどうかはわからない。だけど、美術への熱い魂を吹き込まれた若者はその後姿を追っかけて努力し続けている。どうかこれからも見守ってください。合掌