伝える力

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一昨日の夜、NHK総合 プロフェッショナル 仕事の流儀には、俳句ブームの立て役者 夏井いつき先生が出演。俳句についてだけではなく、普段のことも歯切れのいい口調で、さすが豊かな表現力で語っていた。私はその中で俳句について語った、以下のシーンが印象に残った。

自分のために俳句を書くんだから、俳句のために自分の思いをゆがめるのは違うと思う。頭で空想で作ってると、かっこいい言葉を見つけたから、じゃあ、本当はこっちを表現したかったんだけど、でも、かっこいい言葉が見つかったから、いやいいやそっちでもとかって、最初の思いを捨てて、言葉のほうに酔ってしまう。心が無かったら、言葉探してもしょうがない。

つまり、俳句とは自分自身が楽しむために、心に浮かぶものを素直に表現する。だから、無理矢理に美辞麗句を並べたてても仕方がない。どこまでも自分の独自性を深堀していくこと。五感で感じている世界観にこだわり続けよう。ウケがいい言葉に惑わされてはいけない。耳ざわりのいい言葉は、受け売りだったりする。自分と向き合う気がないのなら、言葉遊びの俳句は楽しむことができない。そういう意味だと思っている。ちなみにこのことは美術家も同じだ。自分が感じたとおりに動く。ちゃんと自分の伝えたい意味で、自分の伝えたい熱量で、相手に伝えるセンスを磨くこと。心を熱くして魂を燃やすことが大切になるのだ。