トルメンタ

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私が小6の高校サッカー選手権大会準決勝で、決着をつけるPK戦で衝撃的なシュートがあった。それはPKを蹴る選手がなんと蹴ると思われた足の逆足による、いわゆる軸足シュートを決めたのだ。当時、このシュートは麻疹のように蔓延していく。あっという間にサッカー少年の心を鷲づかみする。今よりも世の中がお堅い時代に、テレビでそんなシュートを見せつけられたら、サッカー大好きな子どもならすぐにかぶれてしまう。それくらいインパクトのあるシュートだった。

あれから長い月日は流れて、このたびの高校サッカー選手権大会で、同じように少年たちのハートをスマッシュするプレーが話題を呼ぶ。それはセットプレーの際に、攻撃をする選手たちが手を繋いでグルグルと回りだし、相手のチームの守備陣をかく乱して、自由になった攻撃側の選手がゴールを決めるという画期的なプレーだった。こんなサッカー漫画さながらのトリックプレーを行ったのは高川学園サッカー部。約5年前から部員の自主性を高めるために取り組んだ部署制度の中で、強化部と分析部の連係によって生まれたアイデアを決行する。ちなみにこのプレーは動画サイトを通じて海外でも知れわたり、まさにコロンブスの卵というべきパフォーマンスが称賛されていった。

私は凄く喜んでいる。なぜなら、部員同士が考え抜いたことを実行してゴールを決めるなんて最高だ。大人の入り知恵ではなく、自分たちで考えたことが常識の壁を越えて、スーパーゴールに繋がるなんて、これほど爽快なことはない。昨今、プロ顔負けのデジタル技術を屈指して、トレーニングから食事に至るまでデータで管理する高校サッカーチームが増えている。そのことについてはどうでもいい。私が言いたいのは高校生という文化を第一にした結果、高校生にしかできないアイディアが生まれて、世界をあっと言わせたことだ。そのような原点を大切にできる母校サッカー部の風土は称賛に値する。これからも何が出てくるのかが楽しみだ。めぐりめぐって大きな夢の輪を創っていこう!