No Art No Life

f:id:gallerynakano:20220302002238j:plain

昨日の午前中は県美で開幕した「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」へ。戦国時代から近代までの水墨画や屏風絵、南画、浮世絵など、日本が誇る名作オールスターズの里帰り展は、いい意味で予想を裏切るものであった。それは数多くの個人コレクターの寄贈で構成された作品は、自分がピンと来る好きな作品にこだわった集合体。いわゆる系譜や流派の検証などの学術的な観点ではない。エンターテイメント的な要素の方が強くあるのだ。だから、あらたまって何かを学ぶような堅苦しさはなく、あくまで個人的な感覚で自由に収集された作品は、ドリームチームと言うべき華やかさがあって、ラフなスタイルで鑑賞できる雰囲気を醸し出していた。

やっぱり、あらゆることに多様性を認める国は美術の世界においても同じこと。本当に自分が好きことだったら誰にも遠慮せずに権利を行使すればいい。美術作品を観た時に楽しかったら、それが本当の自分の感情であるのだ。つまらない敬意主義的なものを排除して、独創性を重んじるポリシーを大切にしている。「No Art No Life」という言葉のように、アートのある暮らしの素晴らしさをとことん感じさせてくれる。

その証拠というのか、一番感心したのは作品の保存状態。ここまで当時の色合いや風合いを保ち、美しさや艶やかさを生々しく観られるのは、彼らが日本文化をリスペクトしているから。どこの国であってもその文化を認めることで自分たちのセンスも向上できるはず。開拓者精神はプラス思考で肯定していくのだろう。ちなみに、この展覧会では純粋に作品だけを撮影することが許されている。おそらく、県美で初めての大盤振る舞い。なんとなく、日本国内において外交特権を持っているの大使館や総領事館のように治外法権が適用されている。いつも違う角度から美術を楽しもう。