個性的に

郷土の画家 香月泰男先生の名言に「自分は時々過去において、自分が絵を描く職業を選んだことを自分に感謝している。こんな仕事があるものか、自分にとってもこの仕事が何に変え様もないほど、うれしい仕事だ。死ぬまでできる仕事だ。絵を描いているのは、実際に恋をしているよりも楽しみだ(1937年2月26日 北海道俱知安日記より)」がある。

この言葉は、自分が持っている個性と自分のやりたいことが合致している。だから、毎日やりがいがあって、とてもしあわせな気分なのであるという意味で語られたと解釈している。ただし、そのまんま額面通りに受け取ってはいけない、最初から天才画家として順風満帆に評価されていたわけではない。むしろ、実際は学生時代は担任と美術に対する考え方の違いで衝突し、創作人生は思い生きり遠回りするはめになってしまう。

それなのにこのような言葉を発するのは、豊かな感性を必要する世界だからこそ、いつも何かを感じている自分にとって、浮かぶイメージを表現することを極める世界は、なんてやりがいがあるのだろう。私の腕前はまだまだ芸術の分野ではまったく通用しない未熟なもの。今は大したことがないって、言い換えれば、これからいくらでも伸びて成長してできる。努力すればするほど、面白いものを描いていけるのだ。さすが香月先生が25歳の時のお言葉。その後の人生でもブレなかった熱い魂が込められている。