こつこつと

私が通っていた高校は、当時、曹洞宗が営んでいたため、週に1度ほど宗教を学ぶ時間があった。とても噛み砕いた内容でわかりやすく、また、精神力を育む言葉に触れるたびに、心の奥側が熱く反応していく。青春真っただ中、血気盛んな時代。どんな教えも「すげえ~!」と熱くなって喜び、なんて道元禅師って偉いだと感心するばかりだった。この学校と縁があって良かった!この思いがずっとあるから今も関わっているのだろう。

そんな授業の中で印象に残ったものがある。それは「人が歩いている道の上に、大きな石と出くわしたら、ぶつからないようによけて無事に通り抜ける。しかし、人は道端に落ちている小さな石ころに気が付かず、ちょっとした弾みにつまずいてケガをしてしまうものだ。つまり、人生とはその歩むのなかで、大きなことには対処することができるが、小さいことに足元をすくわれて、つまずいて悩んで苦しむことが多い。そのように悟りなさい」という法話だ。

ふと、このお話しを思い出したのは、コサカダイキ君の小さな発見力が素敵だから。彼はいつも小さな発見をしては自問自答する。その真摯に気付きと向き合う姿は、自分なりに学ぼうとする姿勢の表れ。ちょっとしたことでいいから、よりよくなるヒントにしていく。世の中と自分自身との間に生まれる溝を見つけては、どうしたらいいのかを考えては行動にうつす。小さなことを鋭い観察力がたくさん感じるから考えてしまうのだ。それゆえ、最初から小さなことに悩んでいれば、苦しいことがあっても向き合っていける。危機を脱出するアイディアを考えられるはず。このままコサカ君が修行僧のように、アートと向き合っていくことを祈る。