リベンジ!

昨日より開幕した山口県美術展覧会は、吉村大星君が約1年間をかけて4枚の100号キャンパスに描いて組み合わせた「ザルの惑星」が大賞に輝く。父・芳生氏(故人)と同じ30歳での受賞。なんとも美術の神様は粋な計らいをしてくれる。これも大星君が中学卒業後に父に弟子入りして、こつこつと地道に努力して才能を磨いてきたからだ。

ちなみに大星君の公募展への挑戦は、2008年の山口市美術展に始まり、いきなり奨励賞を受賞。続く2009年には文化協会賞、3年目の2010年に大賞へ昇りつめていく。同じ頃に県美にも応募しはじめ、2014年に「現実を変えることはできないけど、自分を変えることはできる」で3度目の佳作賞になってからは、親子展やグループ展などに出品するため、主戦場を美術館や文化施設に移していった。

もう、県美展には応募しないのかと思っていたところ、昨秋に「来年は県美展にこれが最後のつもりで出そうと思ってます」と告げられ、何か期するものがあるのだと感じた。それはおそらく鉛筆でネコをモチーフに3枚ほど描いた組作品が人畜無害と揶揄されたことへのリベンジなのだろう。

だからこそ、審査員も公開審査会に参加して人も写真と見違えるほどのクオリティで仕上げることができた。そして、この8年間にたくさんの人と出会って、美術への思いを深めたことで、人間力がひと皮もふた皮もむけて、創作へのエネルギーがパワーアップした。このたびの作品を観れば論より証拠。本当に素晴らしい出来だと思う。