判読

幼少期に通った白石小学校は、明治5年(1872年)に全国8番目に開校した歴史のある学校。私が小学2年生の時に100周年を迎えて、それを記念して石碑が建てられた。「草のようにたくましく 雲のようにおおらかに 輪となろう 光となろう」とは、その記念碑に刻まれた言葉で、中也や山頭火とも親交があった詩人の和田健先生だ。

およそ70年前、美術館すぐそばの亀山公園に、山口にゆかりがある国木田独歩の詩碑「山林に自由存す」の建立にもご尽力されるなど、戦後の山口市文学界を牽引した大人物。高校時代からお近づきできたけど、もっと真面目にお話しを伺えばよかったと、この年齢になれば若気の至りを後悔するばかり。意識が低いと学びのチャンスを逃してしまう。

 それはさておき、先週末まで赤れんがのグループ展に出品された「11歳」。井上真寛さんの作品で、彼女も同じ白石小卒業生。だから小学校をテーマにした作品制作をお願いしてみる。すると、グランドにあった大きな銀杏の木の近くで、子どもらしい雰囲気が伝わるイラストを描いてくれた。私はこの作品をジッと見ているうちに記念碑の言葉が頭に浮かんできた。そして、記念碑の意味を紆余曲折の人生であるが、大きな輪の一部分である小さな弧として、自分の役割を果たし輝こうと推察したのだった。