セレンディピティ

セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。またはその能力を行使することを指す。ある目的に向かって、研究や実験などで行う最中には、なかなか成果が上がらないことが多い。しかし、その過程でまったく思いもかけなかった新しい知見とめぐり合い、上手くいけば、自分の頭の中で眠る未解決の考えと化合して、新しい発想が生まれてくることを言うのだ。
ところで、県立大4年生の川部那萌さんは、高校時代に自然の豊かさを記録に残そうと、デジカメで撮影し始めてみると、目で見た時に気づかない、不思議な空気感を発見して大感激した。そこで自分なりに表現しようと考えて、ひらめく直観を羅針盤しながら、美しいと感じるものを素直に写していった。
そんな川部さんの人生はセレンディピティそのもの。いくつも予想外の出来事が起こり、偶然が重なり合って実に面白い物語になっている。例えば、通っていた高校の近くの雑貨店に、都会の美術館を退職ばかりの元学芸員さんがいて、美術について学べたり、高3の冬休みで家族で買い物へ行った福岡市で福引で航空券が当たって、高校卒業後に東京へ遊びに行ったりなど、ドラマチックなこと次々に起きたのだ。

これも日常生活の中にあるものを大切にしているから。特別な場所ではなくても特別のショットはできるはず。小さな出会いを注意深く見つめて、そこにある小さな感動を大きく写し出そうとしている。その一期一会にこだわる美学は素晴らしい。このまま今日という日の美しさを表現していくのみ。常に創意工夫して最善を尽くそう!