人事を尽くして天命を待つ

今の美術は鋭い感性の持ち主でなくてもやっていける。なぜなら、誰でも作品制作に必要な情報を手にできるようになった。いわゆるビックデータから必要なものをすくい上げて、馴染めそうなものを上手く活用すればいい。自分の理想に近いものを拾い集めて、試みと失敗を繰り返しながら、アートとしての着地点を探っていく。その昔のように、道なき道を切り拓くタフさがなくても、地図を片手に合理的にやっていける。例え天性の才能がなくても、情報処理能力があれば、それなりの表現が成り立つのだ。
しかし、こんな時代でもわき目もふらずに、自力だけで創作へ励む人がいる。その理由はとても単純。新しいことをやることが不得手で、便利なツールを習得する余裕がない。要するに不器用な性分で世渡り下手。だけど、そもそも人は誰も不完全な存在。何から何まで要領よくやることはできない。不器用な人には不器用な人のスタイルを貫いたらいい。文明の利器は便利さをもたらすが、同時に害を及ぼすこともある。だからこそ、このまま夢を叶えるために真っすぐであれ!蒔いた種のとおりの自分らしい花が咲くだろう。