大西靖子・奥田賢吾2人展

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清冽(れつ)な流れにゴギはゆらりと身を委ねるだけで、
渓流周辺の大気に緊張感がみなぎってくる。
先程から岩影に身を隠し、瀬尻に揺らぐゴギの動きを楽しんでいたが、
さすがに二月は冷え込みが厳しく、徐々に腰を上げた。
ゴギは敏感な魚で私の動きを早くも察知し、上手の泡の内に姿を暗ました。
期待を込めた手綱を右手に流路に踏み入り、
直線的に落ち込みに近づき、泡の内を探ったところ、厳寒の季節を乗り越え、
細身となった全長23センチのゴギが手綱のうちで弱々しく跳ねた。
頭部から尾柄先まで、天空の星座を刷り込んだかと見紛うような
白い班紋を散りばめた姿は、とにかく美しいものだ。
特に昨年の猛暑の頃、この最上流域の小さな溜りに、動せず、鎮座していた
全長25センチものゴギは、あまりに凛々しく、
まるで水神様の化身に違いないと思ったくらいである。

(2006年5月22日山口新聞リレーエッセイ「自然界の懐の深さ驚く・奥田賢吾」より抜粋)

このような川のお話を17日(土)18:00より奥田さんに語っていただきます。

タイトル 大西靖子・奥田賢吾2人展
会  期 2007年3月15日(木)~25日(日) 11:00~19:00 (19日定休)