2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

嬉しい誤算

人生には思いもよらない出会いがある。その昔、公募型グループ展の企画書を持参した若者がいた。それは全く稚拙な内容で要領を得ていない。それでも彼女から伝わってくる情熱に懸けることにした。見切り発車なんてアートの世界では常識だ。少し手直しをした…

美術直列

惑星直列とは太陽系内の惑星が太陽に向かってほぼ一直線に並ぶ現象のこと。その言葉のように今週末のギャラリー周辺では「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」と「発見!幻の雪舟」(県立美術館)をはじめ、 吉村大星君の個展「チロでポジティブ」(山口井筒屋…

犬馬は難し鬼魅は易し

世の中の常識にとらわれず、瓢々とした作風で知られる画家 松田正平先生。すべてのものをそのまま素直に見つめ、自由奔放な表現で多くの人々を魅了する。「犬馬は難し鬼魅は易し」。松田先生が愛した言葉。身近なモチーフを好んで描き続け、それはよく知られ…

猫を描く

先日、保手濱拓君の作品展で「これは絶妙なタッチで表現したね」と、ネコの作品の感想を語ったら、「ネコを描こうとしてそれだけに集中しても、なかなか上手く描けなかったのですが、その他のモチーフを描きいる最中に、気分転換にネコを描いたら面白くでき…

悲母観音

1979年10月、山口県立美術館の開館記念として「生誕150年狩野芳崖」が開催された。狩野芳崖とは長府藩狩野派の御用絵師の家に生まれ、日本画の伝統に西洋絵画の写実や空間表現を取り入れ、近代日本画史の最初の画家として活躍。私は9年前の下関市立美術館で…

運・鈍・根

近年の美術は文化というよりビジネスに置き換えられたような気がする。それを生業にしている私が言うのもおかしいけれど、愚直に自分自身の創造力を信じて貫くタイプは確実に減っている。その代わりにやたらデッサン力ばかり強調する訳のわからない慣習や無…

未熟

昨日の午前中は親しい高校生とあれこれ語り合う。来春からの進路が決まったことで伸び伸びとしていた。それもそうだろう。希望した学校へ行けるのだ。自然と表情は明るくなる。そこでもっと夢を大きくするために学んだ先にあるもの、社会へ出てどのように学…

若者にこそ

昨日はアスピラート(防府市)で開催中の「瀬戸内デザイングランプリ2017」へ参上。デザイナーの有志の方がはじめた県内の小中高生を対象にした公募展。未来のアーティストたちに希望の窓を開いたのだ。私は美術は危機の時代だと思っている。その理由は中学…

自学自習

昨日、先週に引き続き山口大学で講義をする。美術にもっと多く興味を持って欲しい。ちょっとでも知識が増えると楽しくなる。そのために小さな問題意識を持っていこう。きっと新しい発見に繋がって、これまでより視野が広がっていく。ワクワクすることが増え…

笑う門には福来る

笑う門には福来る。どんなに苦しいことや悲しいことがあっても、自分らしくポジティブに生きている人は、朗らかで明るい雰囲気が伝わっていく。ひたむきな姿に心打たれて、人が親しみを感じて近づてくる。だから稚拙でもいい。困った状況になっても逃げ出さ…

広大無辺

近年、他人の評価を鵜呑みにして有難がる、一流好みの人たちが増えているように思える。いわゆるマスコミで取り上げられたものがブームになりやすくなった。世の中の価値観が多様化して、自分のいいと思うはいいと言える時代に、流行と言われると我先に欲し…

青春とは

「青春とは人生のある期間ではなく心の持ち方を言う」(サムエル・ウルマン)という名言は本当だと思う。どんなに年齢を重ねても青春と向き合える人は、とても繊細で傷つきやすく、そして、魅力的で人の心を惹きつけるオーラを持っている。決して表面的に若…

百花斉放

巨匠レオナルド・ダ・ビンチが描いたキリストの肖像画。米国の競売で約508億円で落札された。この金額は山口市の一般会計当初予算案の約6割。それだけ値打ちがある作品だと思う。しかし、本当にそれは本物なのだろうか?どんなに立派な鑑定士がいたとしても…

人間万事塞翁が馬

高校時代、画塾へ通って絵を教わる。美大へ行って自由に絵を描いてみたい!とても単純で純粋な動機で始めた。若さゆえに理想の未来を信じる夢見る夢子さん。そんな甘い思いに試練が待っていた。有名美大を出たばかり画塾の先生。腕前は確かものだった。しか…

古今無双

ほぼ週1回は必ず嫁の実家で夕食をする。80歳を超えた義父母とお酒を酌み交わしながら、巷の話題から時事まであれこれと放談。いつまでも元気であって欲しい。『生涯元気』。それはどんな人でもそうあって欲しい。なぜなら生き抜いてきた歴史は素晴らしいから…

冒険しよう!

今年度の県美展で配布されたパンフレット。その裏面にある審査講評。「選考に残ったのは、何らかの逸脱や冒険、やむにやまれぬ衝動に突き動かされた作品であった」や「落選となった作品に象徴されるのが『タイトル・サイン・額縁』に対する配慮が薄いという…

才能というものは自分一人で決めることじゃない。それを見抜てくれる自分以外の人と決めるのだ。自分だけの価値観で才能を信じると、自分勝手に物事を解釈してしまう。その結果、何が正しくて何が間違いなのかわからなくなる。まるで違った方向へ進んで、と…

まくら

棚からぼたもちなんて言うけれど、必要な資料を探し始めた途端、目の前の本棚からいとも簡単に現れる。なんともラッキー!これはきっと美術の神様のおぼし召しだろう。なにせ過去の山口県美術展のことを調べようとして、たしか古い美術館の定期刊行物があっ…

たゆまぬ変化

可能性があるというのは、言い換えれば変化すること。人は生きている限り、心も身体も環境も同じではない。単調な毎日に思えても、実際は昨日と違う今日なのだ。良し悪しは別として、新しい日々を迎え続けていく。そこで大事なのは自分は何ぞやと問い続ける…

90分2本勝負の挑戦

来週より2週に渡って大学でお話して参ります。もう1年ほど良い機会を頂戴しました。とは言え講義するのはそれなりのプレッシャー。学生さんは毎年入れ替るため、単純明快、一筋縄ではいきません。特に今時の学生さんは1学年ごとに気質が違っている。これはあ…

水魚之交

これから10数年先、人工知能と共存する未来になっても、人と人が出会って話し合うことは一番面白いままだろう。どれほど文明が発達しようとも、この楽しさは変わることはない。お互いの感性をぶつけあって、次々に好奇心を響かせていく。それはたったわずか…

批評を求める

ピントの外れた批評は相手にすることはない。その人の成長を願うものならともかく、重箱の隅ばかりつつくような連中は無視したらいい。軽く微笑んで受け流してみよう!要は中身のある批評に耳を傾け、自分の欠点と向き合うことで、やるべき課題が見えてくる…

若い力

昨日の夕方、「若さの特権が許さるのは25歳まで。もう1年ちょっとしかないから焦ってます」と語る若者と談義した。仕事をしながら自分の夢へ向かって走り続けている。こんなゆるい時代でもハングリー精神を持っている。だけど、やっぱり現実は厳しいもの。一…

直観力

小さな縁をずっと大切にしている人。ほんの一瞬しか出会っていなくても、共感できる仲間との出会いを見逃さない。同じ価値観が持てることで力を合わせて何かができそうだ。新しい化学反応が発生して、未来へのエネルギーが生まれるだろう。こんな偶然は偶然…

有名無力、無名有力

「有名無力、無名有力」という言葉がある。人は成功しようと最善の努力をして、理想的な才能を得ることができたとしても、そのおかげで多忙になって学ぶ時間がなくなり、遂には凋落の道を辿ることを意味する。それならむしろ無名でいる方がいいのだ!自分が…

誠心誠意

負けてもともとなんて言葉がある。それは勝とう勝とうと思えば思うほど、必要以上に力が入って冷静さを失いやすくなる。そのため一歩引いた謙虚な気持ちで、勝敗よりも自分らしいパフォーマンスを第一に、普段通りの心構えで挑戦することを言う。例え目先の…

内なるものへ

美術というものは創る人も観る人も、それなりに場数を踏むべき世界である。感性とは一朝一夕で素晴らしいものになることはない。とにもかくにも既存の価値観に立ち止まらず、前へ向かって勇ましくアクションあるのみだ。今、ここで、できることで実力を試し…

雲外蒼天

昨日、子供の頃より仲が良い後輩君から因果なものをプレゼントされる。本来ならありがとう!・・・と素直に喜びたいけれど、実は後輩君の仲間たちによって作られた友情の証。流石にそれを私がもらうのは気が引けてしまった。しかし、これも深い関わり故に巡り巡…

在るがまま

時々、自分探しをしている若者と出会う。彼らはどちらかと言えば真面目なタイプが多い。そのため、「これは自分がやるべきことなのか?」や「本当の自分の才能とは何なのか?」と考え込んでいる。この行為自体は良いこと。むしろ若い時に思いっきり悩んだ方…

恩師ナウ!

昨日、小学校時代の恩師がやって来た。お会いするのはひさしぶり。相変わらず暑苦しい気迫を漲らせる。もう時期80歳になると言うのだが、そんなことはどこ吹く風。まだまだ元気いっぱい!今も健康づくり体操の指導員として活躍。また、孫世代の若者に交じっ…