2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

評論

小さな誘惑に負けてはいけない。ほんのちょっとだけの気持ちは禁物なのだ。そのちょっとが油断になって大事を引き起こす。蟻の穴から堤も崩れるもの。だからつまらぬことを見切ること。これによって大きな夢へ挑戦できる。もし本気で何かをやりたいと思うの…

自分次第

数週間前、美術家志望の若者と話していた時に「どうやったら美術は上手くなりますか?」と質問された。おおー、いきなり前振りもなく、永遠の問いを素直に聴いてくる。そこで「君はどう思っていますか?」と逆に尋ねてみた。すると、なんと「・・・・・」と固まっ…

一瞬一生

香月泰男画伯の有名な言葉に「一瞬に一生をかけることもある。一生が一瞬に思える時があるだろう」がある。この言葉を私なりに解釈したら、「これを描くと決めたら、最後の作品になるかもしれないと覚悟して臨むこと。常にこの熱い気持ちがあったら、創作へ…

諸行無常

「諸行無常」とは仏教の用語で、この世のすべてのものは、絶えず変化し続けて、ずっと同じままでいられないことを指す。それはつまり、すべてのものが滅びゆくこの世であっても、決して滅びることのない真理を求めていくこと。どんなに素晴らしいものを創り…

一を聞いて十を知る

論語の「一を聞いて十を知る」とは、ものごとの一端を聞いただけで、全体を理解できること。わずかな言葉をヒントにして、すべてを汲み取ってくれること。非常に賢くて察しの良いことのたとえだ。この世の中はいろいろなことと交わっている。さまざまなこと…

童心

その美術家は7月上旬のある日の早朝、子供の頃から慣れ親しんだ近くの浜辺で、まる1日ほどかけて打ち寄せる波を数えることにした。それはただ黙々と24時間にわたって、ひたすら波を見ては数えていったのだ。このことについて「どういうコンセプトなの?」と…

分け入っても分け入っても青い山

「分け入っても分け入っても青い山」とは、防府市生まれの種田山頭火が俳人として生きていくことを決心した時に詠んだもの。夏山の青々とした美しさを連想させて清々しさを感じますが、実はそれだけではなく道なき道を歩き続けて、行けども行けども青い山は…

後ろ姿

昨日、御歳86になる嫁の父親と世間話を楽しんだ。さすがに加齢で動きはよくないけど頭の中は今もバリバリだ。これもいつも新聞を2紙ほど愛読し、また、自発的に様々な出来事に触れることで、絶えず新しい刺激を受け入れている。もっとわかりやすく言ったら、…

小自然に育つ

その彼はのんびりとした空気が漂う農村地域に家があった。小さくてかわいい大海山。近くの瀬戸内海は、ほとんどの日が穏やかな日和ばかり。やさしい波音がゆるく聴こえてくる。そして、暮らしやすい温暖な気候にもめぐまれて、緑豊かなフラットな大地が広が…

24時間

毎年夏に放映される「24時間テレビ」。私が中2だった頃に始まった。当時、通常の日のテレビ放送時間は、深夜から早朝までは休止になって全く映らなくなる。そのためテレビ界の常識を打ち破るような革命的な番組の誕生に衝撃を感じた。そう、今現在のようにテ…

感動

とかく素晴らしい美術作品を創るには、達悦した技術が必要だと言われている。それは様々なテクニックを屈して、画面をきちっと構成していくことで、表現は美しくなるという定説の存在が大きい。それはそれで一理も二理もあって、合理的で正しい考え方なのか…

切磋琢磨

「切磋琢磨」とは自分が志している分野で、良き友やライバルと鑑にして努力すれば、才能を成長させていけることをいう。最初は何でもないごつごつしていて、あまりきれいでない石ころでも、あちこちにこすられていくうちに、ピカピカに磨き上がられていくも…

一隅を照らす

昨夜、国営放送の大河ドラマを見ていると、近代オリンピックの父であるクーベルタンの名言が流れた。「オリンピックで最も重要なことは、勝つことではなく参加することである。同様に人生において最も重要なことは、勝つことではなく奮励努力することである…

憧れと資質

20代前半、「憧れの南の島へ絶対に行くんだ!」と決心する。この日からお金を貯めるためにせっせと働いた。渡航費や滞在費などを貯めるためにひたむきに頑張った。その時に子供の頃から好きだった絵を描き始める。仕事の合間の息抜きとして、家でできる手軽…

ユーモア

その昔、ある方との会話中に「知識」と「知恵」の違いについて尋ねられた。そこで机の上に置いてあったモノ差しを手に取って、「知識とはこのモノ差しのようなもの。ハッキリとした基準があることで、世の中の価値観はわかりやすくなる。そして、知恵とはこ…

大器晩成

いつもその目のつけどころには感心させられる。なかなかそうやって見ることはできないもの。本当にいいところに気が付いているんだよ。そう言って思わず手放しで褒めてしまうことが度々ある。それはきっとインスピレーションが素晴らしいからだ。なんでもな…

変化

子供の頃から絵を描くことが好きでとても楽しかった。自慢するほど絵は上手くなかったけど、ただ夢中になれるその瞬間が心地良かっただけ。もし、いつまでもこんな謙虚な気持ちを忘れなかったら、少しばかり上達しても自己満足とは無縁のままだろう。なぜな…

いくみワールド

昨日、作品展の搬入中に、幼い子供からあった「水はどこから生まれたの?」という素朴な質問で盛り上がる。この言葉についてなんて答えればいいのか?おそらくこれぞという明確な答えはない。その場で科学的な根拠を調べて語ってもいいのだが、それよりも彼…

実践あるのみ

先々週、ある若者から美術家との付き合い方について「どうしたらいいのでしょうか?」と質問された。そこで、ピンとくる美術家などと知り合ったら、どんな小さなことでも面白がって、とことん深い付き合っていくこと。なぜなら彼らのコンセプトを理解するこ…

恩送り

その昔、上京した時にお会いしたある画廊の方に「山口県から来ました」とご挨拶したら、すぐに「香月先生の故郷ですね」というお言葉をいただいた。当時の私は20代前半。この世界について右も左もよくわからなかったため、「へえ~、やっぱりスゴイだ」とし…

成熟度

成熟度とはある分野においての現状などを何段階で評価し、段階に応じた改善や改革を行うための指標のこと。以前、私は人前でお話しする時に「美術家の成熟度表」を作って、いくつかのカテゴリーに分けて語ったことがある。その中の1つに「志」がある。志とは…

アレンジ

美術は人の心に意外性を感じさせて楽しむ世界。しかし、そのまま奇をてらえばいいわけではない。誰もがやらないことをしても、それをやっても意味がないのなら、ただの変わり者で終わってしまう。まずは基本的なことを習熟してから、自分らしい個性を交ぜ合…

修業

若い時なら美術作品を制作するのは、修業だと思って取り組んだらいい。その理由はとても簡単。修業ならなかなか成果などが上がらないのは珍しくない。これだけ頑張ってやったのに、厳しい評価だったなんてよくあることだ。それに対していちいち悩んでしまっ…

袖振り合うは多生の縁

日曜の午後、パッと見ただけで美術家だとわかる風貌の方が来場してきた。そこで声をかけてみたところ、たまたまここを通りかかった時に、聞き覚えのある名前だったので、その直感を信じて入店したと言われる。そして、「たしかここでSさんの作品展をしました…

理想

先週、ひさしぶりに親しい若者がやって来た。彼は20代半ばで仕事をやめて自分の好きな分野へ挑戦し、数年経った現在では少しずつ稼げるようになったという。それは良かった!私はフリーになると言われた時は反対したが、自らの退路を断って真面目に活動する…

最善

この日曜日まで開催していた「ひみつきち展」。連日の厳しい真夏の暑さにも負けないくらい、4人の出展者の美術への一途な思いがあまりにも熱かった。それはまだまだ駆け出しの彼女たちが、真剣に美術と向き合って最善を尽くしたから。よこしまな気持ちに染ま…

鳩と青年

先日、県立美術館のそばを自転車で通った時のこと。木陰で鳩たちがじゃれあっていた。こんな猛暑の日照りの中で、なんて元気がいいこと。もしかしたら人間よりも強い生きものなのかもしれない。生活を快適にする文明の利器がなくても、野生の遺伝子は優れて…

勇気

今の自分の実力を知る機会と出会ったら、まずは真摯にその言葉を受け止めてみよう。他人の評価は意に沿わないこともあるけど、相手も向上を願って良かれと思って言うことが多い。やはり勇気を振り絞って洗礼を浴びる気持ちで立ち向かうこと。例え自分の作品…

求道心

誰にでも見えるけど、誰にもひみつだよ。秘密が、約束が、いつまでも鮮やかにトクベツにする。跡形もなくなって、消えてしまっても、永遠に存在する。まぼろしのような、夢のような、なんてことのない場所。私の、私たちだけのトクベツ。家の中、車の中、森…

学ぶ

昨日より20数年来の年下の友人が、日頃慣れ親しんだ美術教室を離れて、得意分野のスキルアップを目的に、ここで研修を受けるためにやって来た。実は数ヶ月前にこのことを打診され、ついノリで二つ返事してみたものの、やはり責任があることなので、勉強会用…