2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

いつまでも謙虚な心で

そう言えば、その昔から堂々と「美術家です!」と名乗る人と出会うことがあった。最初の頃は臆面もなく自信を持って言うから、それなりに才能のある人なのだと思っていた。しかし、実際に額面通りの実力者には会ったことはない。たしかに少しばかりは見どこ…

このたびの岸透子さんの個展に「終わりの次」という作品があった。ついタイトルにつられて、作品のメッセージを読んでみると、思わずポンと膝を叩いしてしまうほど、気持ちよく腑に落ちる言葉で書きつづられていた。ちなみに以下のとおりである。 「庭に咲い…

くつろぎ

3月上旬、とにかく心を落ち着けて、ゆっくりとやっていこうと決意した。これまでも自然災害や経済危機に見舞われて、厳しい経営状況に陥ったことは何度もあったが、今回は過去に類を見ないことなので、開き直ることが大事だと思った。たしかに長い歴史をひも…

自制心

基本的に美術家という職業は、たった独りでやっていくもの。何らかの組織に属しているわけもなく、自由に気ままに活動していくことを第一にする。いくつになっても上司もいなければ、部下なんて存在もいやしない。いつも自分だけの時間に囲まれて過ごせるメ…

攻めろ

先日、アラサーの美術家と出会った時のこと。「このところ30代へ入っても創作活動を続けていけるのかが不安なんです」と、胸の内を素直に語ってくれた。そこで私は「30代になって何をしたら良いのかがわからないという自覚があるから大丈夫。どうしたらいい…

勇気

美術をやっていきたい人はいつも勇気を持っていこう!自らの作風を究める姿勢を失わずに、個性を維持できるよう努力していけばいいのだ。その時代に流行っているものに合わせていくのはそんなに難しくはない。尊敬して見よう見まねして学ぶことは大切なこと…

温故知新

一昨日、約30年前に買い漁った現代美術の本がいくつも出てきた。嗚呼、なんて懐かしい・・・っていうより、まったく覚えていなくて恥ずかしかった。ちなみにこの本は日本へ海外で活躍する現代美術家の進出が急速に増えたバブル経済の絶頂期に出版される。当時、…

自分の中に毒を持て

本屋さんで見つけた岡本太郎氏の著書「自分の中に毒を持て」。お手頃な値段だったこともあって速攻で購入。そして、すぐに家でざっと読んでみると、期待以上に面白さにとても得した気分になった。まるで子供の頃に駄菓子屋で当たりくじを引いたくらい、自分…

青雲の志

春先にひさしぶりに古くからの友人に会った時のこと。彼は美術への造詣がとても深く、美術関係の知り合いもたくさんいる。そんな恵まれた家庭環境に育ったためなのか、お子さんの1人が美大へ進学すると言い出した。当然ながら目指していくのは美術家だ。その…

バトルロワイアル

かつて山口県美術展覧会は、洋画、日本画、工芸、書道、彫塑、写真、デザインの7部門に分けられていた。当時、美術表現はほぼこの中に収まると考えられ、それぞれの分野で評価の高かった作品から、その年度で一番になる最優秀賞を選出していた。そのため、出…

失敗は成功の母

「失敗は成功の母」ということわざがある。これは失敗することでその原因を追究したり、欠点を見つけて改善していくことで、かえって成功に近づくことをいうのだ。つまりこの世の中になんでも完璧できる人なんていない。いわゆる何かへ挑戦していけば、最初…

麦の如く

かつて私が若かった頃、山口で20代の美術家が個展を行うためには、それなりの公募展で活躍した人や美大出身のバリバリの人、または、一定期間の修業を終えた人など、客観的に一人前としての条件を満たさなければ、やることのできない暗黙の了解があった。そ…

自由と我がまま

福沢諭吉が唱えた学問のすすめの中にある「自由と我儘との界は他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり」という言葉。このことを簡単に言うとしてら、自由と我がままの違いは他の人の迷惑になるかどうかがポイントだと言っている。そう、人は誰でも生まれな…

日々是修業あるのみ!

10年前、私は40代の折り返しを過ぎたばかりで、何事にも猛烈に取り組んでいた。もちろん、今も自分自身としては変わらず、そのまま元気一杯であるつもりだが、それは同じ年齢の人の中ではエネルギッシュなだけ。現実にはあの頃と比べたら明らかにパフォーマ…

イノベーション

「模写」とは、世間一般的にいうのなら似せて写すこと。実物どおりに写しとることを意味する。これが美術になると先人の作品を忠実に再現し、あるいはその作風を写し取ることで、その作者の意図を体感や理解したりする手段として用いられる。またそれを行う…

火事場の力

人は誰でも何か新しいことに試んでいこうとする時、ここ一番の勝負に参加せざるを得ない時、極めて大事なことをやらなきゃいけない時などなど、心臓がドキドキと高鳴るほど緊張してしまうもの。それは精神的な重圧が全身に行きわたり、これからやるべきこと…

挨拶

昨日、いつも元気よく挨拶してくれる若者がやってきた。本当に元気溌剌な時もあれば、それなりに心が凹んでいる時も、とにかくこちらを見つけるなり、声を出して柔らかく会釈する。私は曹洞宗の高校に通ったため、禅についての授業があって、その中で挨拶と…

不思議

これはいったいどうしてこうなるのか? 一般的な考え方では上手く説明つかないこと、世間一般の常識では推し量れない事柄を「不思議」という。この言葉は仏教用語「不可思議」に由来し、仏や菩薩の神通力や行いのように、言葉によって表現し難い境地を意味す…

イマジネーション!

本当に素敵だなと心から感じられるものは、何気ない風情にそっとたたずんいる。あまりにも自然に溶け込むため、つい看過ごしてしまうことはよくあること。そんな見えにくいものを見つけるには、頭の中でイメージを膨らませていく力、いわゆるイマジネーショ…

育むこと!

いわゆる美術の才能というものは生まれつきではない。子供の頃、素晴らしいと言われなくても、その人が本気になって努力し続けていったら、自分らしい世界観で表現することができる。だから美術の才能というものはダイヤの原石と似ている。最初からピカピカ…

丸くとも一角あれや人心

坂本龍馬が好んで使った言葉、「丸くとも一角あれや人心 あまりまろきは転びやすきぞ」。その意味は温厚で周りの人円満にできるのは良いことだけど、それだけではなく、意見を言うべき時はズバッと言える面もなければならないということだ。なるほど、古来か…

慈悲深さ

人は決して弱い生きものではない。みんな熱いエネルギーを持っている。だけど、普段はその数パーセントしか発揮していない。なぜなら危機的な状況に出合った時に、そこから脱出して生き延びるために力を温存している。いわゆる予期せぬことに見舞われた時に…

口伝

昨日まで県立美術館で行われた「ハマスホイとデンマーク絵画」展。新型コロナ感染症の拡大防止を踏まえて、会期は残り2週間だけに短縮されてしまった。そのため私はスケジュール的に難しくなって、作品鑑賞を泣く泣く断念せざる得なかった。特に県美の学芸員…

無知の知

自分の作品について語ってみよう!それは作品へのコンセプト(骨格となる発想や観点)でも、ポエムのように情感を伝えるものでも、なんでもかんでもいいから言葉で表してみるのだ。すると語った作品の出来上がり具合いが、どんなものかわかってくる。自分と…

ルート

その昔、公募美術展で高い評価を得ることができたら、世間に広く名が知られるようになって、第一線で活動できると考えられていた。いわゆるサクセスストーリー!実力を試そうとレベルの高いステージへ出展し、古い評価から脱出するために果敢に挑戦していた…

美術品の清玩所であります

昨日の夕方、突然、「うん、このポリシーはわかる」と、岸田劉生の画集を熱心に見ていた岸透子さんから声がした。そこでどのページのことですか?と尋ねてみたら、劉生が活動記録にあった言葉に思わず共感したのだと言った。それは「展覧会の見方とは何であ…

マイウェイ!

先週、常連のお客様から岸透子さんの絵の魅力について尋ねられた。「何が良いと思われますか?」。そこで「彼女の良さは誰でもが目にすることのできるもの。どこにでもある在り来たりだと言えるものの中に、まばゆく光っているものを発見すること。いわゆる…

未来へ

先月下旬、ギャラリーの営業を再開してから約2週間。正直、このタイミングでいいのか?と、戦々恐々の始まりだったが、お客様にもご協力していただき、なんとか通常に近い雰囲気で営業している。そんな中、このたびのことでオンラインを使った様々な取り組み…

独自性

その昔、画家のボブが1枚の絵を30分以内に描く、「ボブの絵画教室」というテレビ番組があった。キャッチフレーズは「私が教えるのは描き方の技術だけ、何を描くかはあなた方の世界です」。それはまるで料理番組のように、手際よく様々な絵の道具を使いこなし…

ネバーオンワード!

「人生すべて実験である。実験の数は多ければ多いほどよい。失敗したら、もう一度起き上がればよい」という言葉がある。たしかに人生は1回こっきりなのだから、来る日も来る日も最善を尽くすしかない。最初のアプローチでズバッと的を射ることもあれば、何度…