道元禅師の教えに「善者に親近すれば、霧露の中に行くが如く。衣を湿さずといえども時時に潤い有り」という言葉がある。これは霧や露の中を歩いていると、いつの間にか衣がしっとりとしてくるように、善人に接していると知らないうちに善い影響を受けるという意味だ。人は誰でもその場所にある文化に染まっていく。何を普通にしている集団に属しているのかで変わってくる。だから発展途上の人はキャリアのある人たちとたくさん触れることで、そこで常識とされる文化に染まって成長していくのだ。美術は有力な人物によって才能を見い出されるというより、集まる場所の風土によってレベルは引き上がっていくのだと思う。私の理想は切磋琢磨できる環境を作ること。老若男女、国籍も問わず、美術に志のある人が集まって、喧々諤々美術を語り合えるギャラリーになること。今のところ幸いにも新しい仲間も加わって活気がある。ここの普通が評価されるように、これからも自分が一番学んでいこうと考えている。