約20年前の12月、世の中はバブル景気に浮かれていて、
クリスマスも高価なプレゼントや豪華なディナーで
恋人と過ごすことが当たり前のような一大消費ブーム。
そんな中、彼女のいなかった私は仕事以外にやることがなかったため、
朝から晩まで一応真面目に労働して、ただし、若かったので大きな収入にはならなかったけど、
それなりにこの時代を満喫しながらクリスマスイブの日を迎え、
さすがにこの夜を家で過ごすのも如何なものか想い、今も行く小料理屋さんへ行くと、
家族や恋人と過ごしていない中年の殿方が避難のために集まっていたので、
私を見るなり一声に「可哀そう~~~~~」と大きなお世話。
本当は可哀そうなのは家族に見捨てられたアンタラでしょうが、
心でつぶやきながらカウンターでビールを呑んでいると、
隣りの席に人生の先輩で老紳士の建築家のYさんが現れて、
「まあ、今夜はクリスマスではなく忘年会をしましょうよ」
と、優しい言葉でのフォローだけでなく日頃は口にすることのない高級料理やお酒を
たらふく御馳走していただいた上に二次会でクラブまで連れて行ってもらう贅沢三昧。
まったくの想定外な展開になったけれど、豪華なクリスマスを楽しむことができて、
Yさんにめちゃくちゃ感謝のお礼をしてから家へ帰ることに。
途中、カラオケを歌ってのどが渇いたので、自販でジュースを買うと
なんと前の方が忘れたお釣り銭が残っているラッキータイム!
サンタって本当にいるのを少し信じてしまったクリスマスでした。