熱量

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昨年12月に行われた県美展で、難波瑞穂さんは佳作賞に2点ほど輝く。その作品について審査員の鷲田めるろ氏は「難波瑞穂≪仮面≫は、版を刷った上に刺繍を施した作品。版の部分は、おそらく彫刻刀で木の板を削り取った刀の跡が見え、それが凹んだ様子を想像させるのに対し、毛糸のような太い繊維で刺繍された部分は実際に盛り上がっていて、その対比が面白かった」(審査講評より抜粋)というコメントをいただく。

そんな難波さんと私は彼女が山口大学生だった頃に出会ったので、かれこれ四半世紀以上前からの知り合いである。だけど、その当時からご主人なった章人君を介するため、ほとんど直接語り合うことはなかった。だから、これだけ長い年月が経つのに、知らないことの方が多かったりする。

昨夜、明後日より始まるグループ展などのことで、難波さんと電話でやり取りをした。この時、必要な打ち合わせはすぐに終わり、その後はさまざまなテーマの美術談義で盛り上がる。すると、これまで知らなかった面がいくつも見えてきた。とにかく、右脳人間と言うべき人。天真爛漫に言葉を繋げていく。なんでもかんでも素直に感じて、すぐに新しい視点を発見して面白がる。自然体で飾り気のない自由人だ。けれども熱量は高い。ほんわかしているだけではない。美術へ人生を捧げる覚悟がある。どうすれな向上できるのかについて、何度も何度もいろんな言葉で尋ねてきた。彼女の情熱は凄かった。やはり、ハングリーだからこそ、今も続けているのだろう。