大器晩成

約2年前、ギャラリーにひとりの学生さんがやってきた。パッと見ただけでとても感じがいい。そこで語りかけてみると、最初は緊張気味だったけど、次第に打ち解けてくると、高校時代から写真家へ憧れて、自分なりに手探りで活動していることが判明する。それもなかなかエネルギッシュだ。若者らしい大胆さを武器に創作への冒険を夢見る。

まだまだ発展途上の段階。とんでもない才能はないけれど、素晴らしい情熱があって、ちゃんと勉強したい意欲に溢れて、そして、礼節をわきまえてやり取りができる。実はこれがとても大事なこと。どんなに才能があったとしても、コミュニケーションの能力がなかったら、世に出るチャンスにはめぐまれない。宝の持ち腐れになってしまう。

そんな彼女は社会人になってからもよく動き回っている。いろいろなことを上手くやりくりして、こつこつ写真の展覧会へ出向いては学び続ける。その甲斐あって、初応募した県美展で入選をする。たまたまかもしれないけど、運を引き寄せる素直さの賜物。とにかく大器晩成。イソップ物語のウサギとカメのカメを目指せ!これからも独自の発見を求めて努力あるのみだ。