花と心の彩り

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「なぜ木版画で表現するのか」と、よく聞かれる
一番の理由は水性絵の具を使って何度も摺り重ねていくうつに
画面に滑らかで呼吸をしているような
〈透明感のある空間〉が生じてくるからだ。
空間は私が最も感心を寄せるものだ。(中略)

刷り上がった絵を見た時、
まず目に映るのは表面の赤なら赤という色だが、
後ろに、黄、朱、、薄い青などが機重にも摺られて出てきた赤なので、
心は無意識のうちに見えていない色の奥へ誘い込まれていく。
そして自分の感覚が花の命や月の光の背後深くと
交わりながら心は絵と同化する。
そんな作品になってくれたらと願いながら木版での仕事を続けている。

                     大西 靖子

一本文エッセイ「なぜ木版画なのか」より

なお、大西靖子「木版画花と心彩り」出版記念展を当ギャラリーにて
4月13日(木)から23日(日)まで開催させていただきますので、
ご興味のございます方はお越しをお待ち申し上げております。

《出版》日貿出版社
《書名》木版画 花と心の彩り
《定価》2,415円(税込)