飛耳長目

「飛耳長目(ひじちょうもく)」とは松陰先生が好んでいた言葉。その意味は、自発的に知識や見聞を広げていくこと。自分の目で鋭く深い観察していくことを指す。いわゆるその人の人生において、自ら体験して得てきた情報は、とても価値のあるものになっていく。自分の足で稼いだ情報だからこそ、言葉に重みや説得力が生まれてくる。

松陰先生は日本列島をまたにかけて歩き回ったり、江戸から戻った藩士に会っては情報収集を行っていた。情熱と不断の努力をもってあらゆることを学び続ける。少しでも知らなければ、好奇心を掻き立てて見聞を広めていく。さまざまなことに耳を澄ませてよく聞いて、目もしっかりと開いてよく見ながら、脳裏にしっかりと刻み込んだのだ。

そんな松陰先生の教えを守った松下村塾の塾生ように、いつも感性のアンテナを高く立てて、いろんなことに関わっていく若者がいる。山口県美展へ応募した作品も、先週のグループ展で展示した作品も、あちこちに出向いて学んだことを活かして制作する。それは過去や未来はさておき、今ここにあるものに集中するという、自らの作品タイトルの而今(にこん)そのままに見聞を広めていった。