海辺の散歩

イメージ 1

時には花や虫やのらねこなどが、私の心や思いを、
ある意味では人間以上に的確に受け止め
正当な反応を示してくれるように感じることさえある。
日に何度もその花を愛(め)で話しかけていると、
さらにいきいきと咲いてくれるし、
小径でひと休みしているヘビに出くわした時、
「ごめん、そこを通りたいのだけど」
と、手を叩いて頼めば彼はスルスルと草むらへ入っていく。

ここの庭には藪蚊が多い。秋のは特にかゆい。
子孫を残すために血を吸った雌蚊を容赦なく殺す。
畑を荒らす猪を射止めその肉を人は食べる。
道路を広げようと古木を切り倒す。
野菜を育てるために草をむしり取る。

蚊も猪も木も草も、

ただ自らを生き続けようとしているだけなのに、
人間の都合で彼らを消していく。
実はそれらいのちと共存しつつ、
人は生かされているのだが、
犠牲となる側のいのちに対してはつい無感覚になって・・・・・。
突然、庭で、
「ハハハハハ」
と、明るく笑う鳥の声がした。


                     大西 靖子