1987年11月15日、秋晴れの維新公園陸上競技場。試合開始直前、母校の選手
たちの表情は活気が溢れていた。そして、まるでスタート前のレーシングカーの
ように爆音を立てて、早くゲームをして勝ちたい気持ちをスタンドまで響かせていた。
まあ、この力みが空回りしたのか先制点を奪われるが、ピッチの選手たちは
ハンディを与えたくらいの大らかな落ち着き。ゲームの主導権は不動だった。
前半終了間際、ゴール前でパスがつながり、最後はヘディングシュートで同点。
後半、右からのセンタリングをヘディングで落としたボールを蹴り込んで決勝点。
相手の堅い守りからこれ以上の得点は奪えなかったが、野武士集団の骨太な
サッカーは大きなインパクトがあって凄かった。
過日、前監督がある雑誌にこの時の主力選手Nを称賛していた。
なるほど、たしかに人間力は規格外。背中からのオーラが眩しかった。