似て非なるもの

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孔子が弟子たちに言いました。
「私は、外見が似ていて、中身が全く違うものを憎みます。例えば、莠(はぐさ)という植物を
憎むのは、私たちにとって大切な穀物の苗に似ていて紛らわしいからです。
口先のうまい人を憎むのは、その言葉が義(=正しい筋道)に似ていて紛らわしいからです。
言葉を上手に扱う人を憎むのは、間違っていてもまるで真実のように聞こえて紛らわしいから
です。鄭(てい)の国のみだらな音楽を憎むのは、優雅な音楽に似ていて紛らわしいからです。
紫のような中間色を憎むのは、正色である朱色に似ていて紛らわしいからです。
そして、偽善者を憎むのは、ほんとうに徳のある人に似ていて紛らわしいからです。」
 
社会の中でうまく生きていこうと努力してもうまく生きていけない人。
こういう人が窮屈な現実から回避するためにアートの世界で夢を創る。
追い込まれて、居場所がなくて、新しく住める世界を求めて想像する。
よく美術家は社会性がないと言われるのは社会の中で精一杯に生きよう
としてもうまくいかない部分を指摘された時の言葉だ。
 
これに似て非なる人たちがいる。わざと紛らわしくしている人がいる。
だけど意外と見分けるのは難しくない。作品を観ていたらわかる世界だから。
その作者自身の顔という作品を観ていたら本物かどうかわかる正直な世界。
「願望」と「欲望」から作られる顔の表情。静かな心で触れたら見えてくるものだ。