カップラーメン

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「一期一会」とは生涯にただ一度まみえること。茶人・千利休の筆頭の心得だ。ちなみに五輪招致のプレゼンで使われてから流行語になっている「おもてなし」も同じ精神から生まれた言葉。思いやる気持ちを季節感のあるものなどで具体的に感じさせて、また、美しい立ち振る舞いや所作で誠実さを伝えていく。人を喜ばせるには、どんな時も心がけが大事なのだ。

ところで、日本国民に長年に渡って親しまれているカップラーメン。毎日、大量生産されて大量消費されている。ほとんどの国民が食べている食品だが、そこにあ...
るはずの「一期一会」を感じて食べてことは皆無に等しい。なぜなら空腹を満たすために食べるのであって、それ以上の何ものでもないからだ。期待はしていない。そして、食べ終わったら目の前から消されて、さっさと捨てられていく。食べた記憶もさっさと捨てられていく。カップラーメンを食べた前後の時間だけが繋がっている。

ここまでの2つ話は、ある作品画像を見てひらめいた。それは先月帰省していた美術家・末永史尚君に新作「カップラーメン」(正式なタイトルを知らないのでごめんなさい)の画像を見せてもらった時だ。思わず、「おおー!」と声が出るほど感動した。立体作品として創られたカップラーメン。本来なら平凡な日常に埋没している存在であるカップラーメン。そんな小さなものに愛情を芽生えさせてくれて、消消されていた記憶を甦らせて、その一食に救われた生命があることを実感する。本物ではなく美術作品にすることで本当の意味がわかってくる。そして、美術作品がなくてはならない理由も明らかになった。「一期一会」。どんなものからでも感じていきたいものだ。末永君、ありがとう!新しい発見に感謝しています。

■引込線 2013
会期 2013年8月31日(土)~9月23日(月・祝) 
時間 10:00~17:00
会期中無休
会場 旧所沢市立第2学校給食センター 所沢市中富1862-1
入場無料