時を越えて

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昭和の頃、「歌は世につれ、世は歌につれ」という歌のナレーションがあった。その意味は、歌は成り行きにつれて変化し、世のあり様も歌の流行に影響される。世の中に存在するすべてのものは、互いに影響し合って変化し続けるということだ。美術の世界もまったく同じだろう。どんな時代もその時代にあった何かが生まれてくる。その時々にあった新しい表現が誕生していく。それは自然なことだし、そうなる運命なのだ。ただし、流行は繰り返すもの。過去にあった古いものを知らない人は、初めて知った古いものを新しく感じられる。もしかしたら流行は、とてもシンプルなメカニズムなのかもしれない。そんなことを想像させられた作品。GAO2017展で西澤佑さんが出品した一枚の絵。私が中3の時に流行った松坂慶子さんの「愛の水中花」からイメージして描いたというのだ。若い彼女がなぜこの歌を知ったのか?そのことは聴き忘れたが、本物の歌のジャケットにしたいくらい、艶っぽい空気が画面から伝わってくる。とても妖しくて良い作品だと思った。