先輩後輩

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ほんの少しだけ昔のこと。子供の頃から美術家に憧れたた少女が、夢を叶えるために地元の芸術短大へ進学する。若者らしく真っ直ぐさを武器にして、美術を吸収しようとする意欲に溢れていた。そこで出会ったのは芸短の先輩であり、非常勤講師として熱く語るひとりの画家。当時、長年やってきた創作が認められ、都会で精鋭が集まる企画展に招待されて、また、県美展で3度目の大賞受賞と飛ぶ鳥を落す勢いだった。しかし、それからしばらして病のために彗星の如く天へ旅立つ。とても悲しくて残念な出来事。運命の悪戯に誰もが言葉を失わされた。そんな偉大な先輩の後ろ姿を彼女はしっかりと見ていた。

授業で同世代になる有名美術大学生の作品傾向や近代から現代までの著名な芸術家の作品を学び、美術家として生きる心得など、すぐに役立つことはないけれど、美術家として生きていくために必要な処世術をしっかりと教わる。まだまだ遺伝子に組み込まれた、奇妙なエネルギーを使いこなせないけど、ふつふつと沸き続ける想像力の源泉になっている。「あの頃、生の声に触れたなんて自覚はなかった。今思い出したら大切なことばかり。漠然ながら美術家のイメージを掴んだのは大きかった」と、昨日、彼女が個展の案内状を持参した時に、あれこれ話し内容を要約するとこんな感じ。やっぱり光陰矢の如し。初めて会った頃に比べて大きく成長している。きっと先輩は草葉の陰で喜んでいるはずだ。スタートの23日(金・祝)は先輩の展覧会と奇しくも同じ日。これも何かの縁!さあ、頑張っていきましょう!

吉田朱里 ゆくえのその先 2018年11月23日(金・祝)~27日(火) 11:00-19:00(最終日は18:00まで)