スイッチオン

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彼女は芸術短期大学を卒業後、将来の具体的なビジョンがないまま、なんとなく日々を過ごしていく、どこにでもいるごく普通の若者だった。そんなある日、たまたまアルバイト先で頼まれた印刷物のデザイン。出来上がったチラシの評判が良かったため、新しい取引先をいくつか紹介される。ただし、ほとんど小さな仕事だったが、20代前半の美術家志望の若者にとっては、それなりに充実感があって楽しかった。こうやって社会と繋がれるのなら悪くない。そのうちに成長してなんとかなるはず。世間知らずの楽観的な思考。どこか勘違いをしたまま流されていた。

それからしばらくして、2歳年上の若手美術家の個展へ出かける。第4回やまぐち新進アーティスト賞受賞記念展。作者とは全く面識はなく、作品も初めて観て回った。すると身体に電流が走っていった。ガツンと頭を叩かれたくらいショックだった。決して美術に自惚れてはいなかったが、何もかもすべての面で劣っていて、自分自身の実力の無さを悟らされた。「これは本当にヤバイ」。この日を境にして創作への意欲が芽生える。甘かった自分にサヨナラをした。遺伝子にスイッチが入って、本気で取り組めるようになった。あれから6年。まだまだ課題は多くあるけど、自分らしい個性を武器に、次々に作品を制作している。一生懸命の人生に幸あれ!その調子で頑張っていきましょう!

吉田朱里 ゆくえのその先 2018年11月23日(金・祝)~27日(火) 11:00-19:00(最終日は18:00まで)