晴耕雨読

昨日の午後は雨が降りしきる中、山口情報芸術センター内にある市立図書館へ本を借り換えに行く。すると、この春に早期退職したばかりの友人とバッタリと出会い、「おおー、これぞ本物の晴耕雨読」と、リアルにことわざが成立したことに感激する。それにしてもベタなシチュエーション。神様の悪戯なのか、粋な計らいなのかと考えてしまった。

その後、図書館を出てからすぐにある館内の中庭に気まぐれで目をやれば、しとしとと降り続く雨が床を潤わして、ライトの光に照らされてピカピカと美し輝いていた。「なんてカッコいい!」。さすが有名な建築家が設計しただけに、洗練されたスタイリッシュな空間だ。この非日常的な空気に包まれれば、都市の旅気分のエッセンスが楽しめる。

そう言えば、10年前に坂本龍一氏がディレクターとして企画した展覧会があった。アーティストの高谷史郎氏と共同で、自然と人間社会の境界で長い時間をかけて発展してきた『庭』という文化の形式に、多くのインスピレーションを受けて制作されたものだった。やっぱり『庭』は日本人にとって欠かせられないもの。ぼんやりと見ていても、気が付けば何か浮かぶ、パワースポットなのだろう。