人魚姫

アンデルセン童話の「人魚姫」。海の中で暮らす人魚の姫と人間の王子の悲恋を描いた物語。このお話しの根幹をなすのは、人魚姫は王子に会うために魔女に人間にして欲しいと頼み込み、魔女は人魚姫の美しい声と引替えに叶えたことと、さらに王子様が他の女性と結婚すると海の泡になって消えるという条件も付けたことだろう。

なぜなら、自分の一番大切な才能を手放して、一番欲しいものを手に入れたところで、本来持つ個性的な輝きは光を失い、普通の魅力に成り下がってしまうだけ。つまり、我が身をかえりみないで無いものねだりをすれば、そのことがきっかけになって、身を滅ぼす危険性が発生してくる。故に恋とは恐ろしい。盲目的な行動になって、まさしく愚かになるのだ。

ところで、地域おこしでその街の魅力を上手く活かせないまま、どこかで当たったことを無理矢理に加えてアレンジして、全国のどこにでもある金太郎飴の企画やイベントなどを目にすることがある。私はこういう類を見るたびに人魚姫の物語を思い出す。見た目よりも味わい深いのだから、再発見する力を軽くアシストすればいいのに、無駄にデフォルメして本質を壊したりする。やっぱり、在りのままでいい。自然体で自然にその街を肌で感じて楽しめばいいのだ!