自然と私

夕方窓をあけると雨は小降りになっていた。
この窓は額縁の役を果たし、
枠いっぱいにいろいろな姿や色の海を見せてくれる。

きのうはあんなに光りきらめき爽やかだったのが、
今日は水平線近くが寒々藍紫に染まり、
その藍がぼかしの感じで海原をすべり、
こちらにくるにつれ銀鼠色に不透明な
エメラルドグリーンをたっぷり含ませ、
海は巨大な生きもののようになまめかしく広がった。

もっと強く、もっとじかに
体中で海を感じたくなり今日も散歩に出ることにした。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大西靖子

画像の作品は「ホタルの夜」です