吉村芳生展

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吉村芳生さんの作品展を開催いたします。

タイトル 色鉛筆で描く花の世界 吉村芳生
会  期 2007年5月11日(金)~20日(日) 11:00~19:00 (16日定休日)

なお、吉村さんの作品について
山口県立美術館研究員・河野通考氏が書かれた
評論をの一部を転載いたします。

花、異界への入口として

どんな異界を見ているというのだろうか。
たしかにここ数年の吉村の絵は花をそのまま活き写したかのごとくで、
まるで写真のような驚異的な描写力と美しさが人々のため息が
ひきだしてはいたのだが、すでにしてその陰にいいしれぬ妖しさを漂わせていた。
秘密は吉村の描法にある。
実のところ、花を描いてなどいないのである。
この画家は。
花を写真に撮る。プリントして細かい方眼を施す。
新たに用意した紙にプリントと同じ数だけの方眼を施す。
方眼の升目を一つずつ精密に写し込んでいく。
以上。
小さな石を一つずつ選び、巨大な石垣を組み上げていくように、
升目をひとつひとつ色鉛筆で仕上げていく。
下手をすれば肉体を蝕むほどに過酷なこの作業に、
叙情的な余裕など毛頭になく、
花全体を見るため距離などかけらも許されてはいない。
画家は一マス一マスに宿る<なにものか>に触れているのであって、
花というイメージを見ているのでない。
花の姿に邪魔されたことなく、その魔力に直に触れているともいえるだろう。
異界に対するセンサーは鋭敏にならざるを得ない。