「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がある。稲が実を熟すほど穂が垂れ
下がるように、人間も学問や徳が深まるにつれ謙虚になることをいう意味。
初めてこのことわざに触れた時に「高校サッカー」のためにあるのではないかと
思った。なぜならピッチに立てる選手たちは家族やチームメイトなど多くの人々の
力をいただきながら成長している。だから多くの準備期間を経て、秋に選手権
予選を戦える環境に辿り着けることの有り難さをどれほど理解できる人間に
なるかが大事だ。いわゆる勝った負けただけでは評価できない世界だと思う。
2000年11月19日、高校選手権県大会決勝戦。Jリーグ入りした3選手を含めて
多くのレギュラー陣が卒業した年。それでも中国大会を優勝したため、勝つための
風土が養われていると感じていた。ところが、総体予選決勝で敗退。ゲームを見て
いないから何も言えないけど、この屈辱がチーム全体の意識を大きく変えた。
そのことは準決勝を応援した際に夏までと違い、勝つことに飢えているイレブンの
覇気は強くなり、熱い血潮がビビットくる。その予感どおり、開始早々は堅かったが、
エンジンが温まってきた前半15分に先制。その後、追加点を奪うのに手間
取ったが、後半5分に2点目をゲット。ただ、これで緩んだのか、3分後に失点して
1点差に。しかし、これで目が覚めて後半13分に3点目が決まって主導権をガッチリ
握る。1,2年生主体の若いチームはこのゲームでも何かを収穫したように思えた。