臨書

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書道の世界には古来から臨書という、手本に可能な限り似
せて書くことを良しとする文化がある。これは過去の達人たちが追求した書を手掛かりに、その時代にどのような言葉を選び、書として表現したのかを、実際に書いて肌で感じてみること。これによって多彩な表現力を身につけて、独自性の高い書を創作できると考えられていた。いわゆる温故知新。古いものを訪ねて求めて新しきを知るのだ。美術の世界もほとんど同じだろう。過去の創造を手本として学び、これまでにない新しい世界を切り拓いていくのだ。過去の美術家がどんなことをやっていたのかを知ることは大切だ。それを知り、自分に相応しいものだけを身に付ける。すべてのこと模倣しようなどと考えてはいけない。要するに自分にできること。それ以外は必要ない。美術家になるためには自分にできることを知る。そして、その個性を伸ばすための手段を発明すること。これができる人のことを才能があると言われるのだろう。