ジレンマ

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先日、県美展を観た後にやって来た学生さんから「県美展に入った人は美術家だと言えるのですか?」と質問される。う~ん、これはひと言で答えられない。なぜなら、にわとりが先か、たまごが先かと似た論理。つまり県美展の審査結果に関わらず、美術家は美術家だし、入ったことがきっかけで美術家になった人もいる。そこで県美展は出展した作品のみで審査され、いわゆる一発勝負と同じで実力より運に左右やすい。だからその他の作品も観ることで、本物かどうかは判断できるだろうと答えた。ちなみに余談になるが、数年前、繊細精密な鉛筆画家で知られる故・吉村芳生さんに「画家ですか?」と質問したことがある。その理由はめったやたらに画家を名乗る人が増えてきたからだ。すると「さあ、どうかな~?」と軽く微笑みながら余裕で答えてくれた。「馬鹿なことを聴くなよ」ではなく、画家かどうかは自分で決めるものではないと表情で語ってくれた。やはりさすがであった。堂々とした横綱相撲だった。学生さんにはこの話も付け加えて、とにかく奥が深い世界だから簡単に答えを出さず、いろんな面から見つめてみようとアドバイスした。

■第71回山口県美術展覧会 2017年9月16日(土)~10月1日(日)9:00-17:00(入館は16:30まで) 休館 9月25日(月)観覧料 一般500円、学生400円、70歳以上・18歳以下・障害者料 山口県立美術館 山口市亀山町3-1 http://www.yma-web.jp/