先日、ある方に「美術家になるためには、美大へ進学した方が良いのでしょうか？」と質問された。それは行ける環境の人なら行った方がいい。若い時代に師や同志、仲間たちなどと出会えて、美術に没頭できる場所は大切だ。ただし、美大で進学したからって必ず美術家になる訳ではない。美大で学ぶいろいろなことは、美術家になるための手段を学ぶのだ。決して美大出身者として名声を得るのが目的ではない。あくまで美術家としてスタート地点に立つための修練の場。そう考えたら美大へ行かなくても同じように勉強する仕掛けを作ったらいい。どんな状況にあっても、きちんと努力さえすれば、いつか辿り着けるだろう。原石は様々な手法で磨かれて宝石になるように、才能は様々な手段で磨かれて美術家になっていく。つまり美大を出ようが出まいがどうであれ、創作への意欲が湧き続ける人なら、その人らしい美術家になれるはずだ。世界は広くていろんな選択肢があるから面白い。美術家への道はあちらこちらに存在しますよと答えた。
