自分の人生は自分で決めるもの。だってそれは自分自身の人生だからだ。15歳の春、勉強が嫌いで父に弟子入りする。高校へ行かずに美術の世界へ飛び込んだ。いくら何でも無謀な挑戦。そんな周囲の心配をよそにめきめきと頭角を現す。後日、この時代に特別なアドバイスがあったのか?と尋ねてみると、ご先祖様のことや青春の思い出話しなど、どの家庭の親子にある雑談だと言われた。それは間違いなく真実だろう。やはり美術は言葉で教わるものではない。知らず知らずの内に肌で覚えて、手が自由に動いて描けるようになるのだ。最高の師匠がそばにいる。しかも父は飛ぶ鳥を落す勢いで美術界で評価が高まっていった。これまでやって来たことが認められる。しかし、なんとも厳しい現実が待っていた。まさかなんて言葉では表現できない。一気にどん底へ落とされてしまった。運命というものは本当に厳しい。まだ、20歳そこそこの若者に大きな試練を与えた。だけど、彼は負けていなかった。まだまだ若くて未熟な面もあるけど、あの日から少しずつ発言も大人になった。そう、周囲にいる多くの応援団に支えられて、美術家として生きることを覚悟する。大きなプレッシャーを背負いながらも父が愛した世界に挑戦していこうと決意したのだ。先月、美術館で親子展を観てからしばらく、走馬灯のようにいろんな思いが巡っていった。とにかく私は私でできることを頑張ってやるだけ。とても気合が入って良かった。