他山の石

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県美展の公開審査会。これが始まった頃は続けて通ったが、気がつくといつの間にか足が遠のいていた。その理由は至ってシンプル。甲乙を付ける場面が辛くなったから。親しい作家が落選してしまうと面白くないし、そうじゃない人でも痛々しく感じる時がある。なぜならみんなそれなりに創作に夢を持って出展している。自分自身の今現在の実力を知りたくて挑戦しているのだ。そんな坩堝化した会場には多くの作者が詰めかける。自分の作品の合否を前に固唾を呑みながら見守る中で、残念な結果に落ち込む人の姿が気の毒になった。私は美術家と運命共同体。彼らの気持ちを察する仕事なので、このような場所にいない方がいいと悟った。
ちなみに審査員の好き嫌いを超えて繰り出されたジャッジに文句を言う気は全くない。しっくりこないと思えるものも何度か観ていく内に腑に落ちてくるもの。1つ1つの県美展ではわからなかったことも、長い年月にわたって観続けていったら、破片のようものが繋がって、その年にあった作品の意味が見い出せる。つまり県美展とは審査員の講評や他の作品の面白さを参考にする機会。いろいろなものに触れて、自分の創作を見つめ直すチャンスだ。単年だけで安直な答えを出さず、広い視野に立って考えることが大切だ。
■第72回山口県美術展覧会 2019年2月14日(木)~3月3日(日)9:00-17:00(入館は16:30まで) 休館 月曜日 観覧料 一般500円、学生400円、70歳以上・18歳以下・障害者料 山口県立美術館 山口市亀山町3-1http://www.yma-web.jp/