正・誤・表

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「正・誤・表」というタイトルの展覧会があった。そのコンセプトは「正誤表は、とても不安定で、動的なものです。いずれかを『正しい』と『間違っている』と定めているようで、不意に更新され、複数の版が互いに矛盾します。原本から取り紛れてしまえば、それが何に対応していたか、分からなくなることもあります。美術と美術館のありようは、この正誤表と通じ合うのではないでしょうか」と書かれいた。なるほど何かを正しいこととすれば、反対側にあるものは間違いだと言われかねない。矛盾という言葉の如く、あることを一方では肯定し、同時に他方では否定すれば、論理の辻褄が合わないことが多い。美術には絶対的な作品なんてあり得ない。みんながみんな好きなんてものは幻想にしか過ぎない。人それぞれに個性があるから、素晴らしいとことはバラバラだ。さすが見事な切り口で攻めた展覧会だと感心した。
ちなみにこの発想は県美展にも通じている。それは出展作品にそもそも優劣なんてものはない。その人なりにベストだったら、それだけで挑戦した意義はある。公募展は純粋に自分自身の力を知るための手段。受験ではないが傾向と対策を練って、入賞入選したところで自己満足以外は、何の意味も生まれないだろう。美術家は死ぬまで美術家として戦う使命がある。ゴール(評価)は先の先なのだ。つまり目先の評価に一喜一憂してはいけない。「正・誤・表」という定義に騙されずに、ドンキホーテように愚直にやり続けよう。ただし、自惚れないために自戒の念を感じる物差しを持つこと。即ち公募展に挑むことで自分を知る鑑に出会えるはずだ。やっぱりこうしてみると矛盾だらけ。そこが美術の自由さであって明確な答えのない世界の罠だ。人生は難しいことに挑戦することには大きな意味がある。いつも自分なりの「正・誤・表」を使って、新しい価値観を見つけていこう!
■HEART2018関連企画展 ロベルト・ピビリ展 チンギアーリ・エ・コ 2019年2月14日(木)~18日(月) 11:00-19:00