昨日のお休みは義父の歯科通いにお付き合い。仕事一途の人生を引退してから年月をかなり過ぎている。しかし、今も現役時代と変わらぬバイタリティさと、どんな話題でも楽しめるセンスがある。わかりやすく言ったら、今時の話題でも柔軟に受け入れ、時代に媚びずに堂々と自分の意見で語るのだ。御年86歳。だけど少年のような好奇心を漲らせる。なんでもかんでも着想する箇所が的を射て、奥義を究めた人は他の分野にも寛容で面白がる。もしかしたら若者たちよりも若い感覚があるのかも。一芸に秀でる者は多芸に通ずという意味を肌で感じさせられた。
そんな義父の治療の待ち時間。車中でダラダラと過ごしていると、目の間に一匹のネコが現れた。見た感じの雰囲気は10歳前後。道路沿いの小高い場所に寝転んで、通り過ぎていく人間たちを尻目に、何食わぬ顔で達観している様子。この冷静な態度は良いものは良い、そうでないものはそうでないと、野生の勘で判断しているのだろうか？理屈が通じないはずのネコに理屈を感じる。野良ネコで生き抜いている生命力はやっぱりすごい。いや、どんな生きものでも生きていることは素晴らしい。こうして生き抜いている姿を称えたい。きっと私が知らない生きる術を持っているはず。どんな世界にも生きるための極意が存在するのだ。あとはそれぞれの考え方。活かすも殺すもあなた次第。野良猫の個性的な表情に思わぬ空想をしてしまい、あっという間に待ち時間が過ぎていった。
■岸 透子 水彩画展 - VOICESl - 2019年5月31日（金）～6月16日（日） 11:00-19:00 定休 6月5日（水）、11日（火）、12日（水）
