まわり道

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その若者は中学校に入学した時に、一度は美術部へ入ろうと決心していたものの、あまりにも女子部員の多さに圧倒されて断念する。いわゆる思春期。女子の存在を気にし過ぎてしまったのだろう。代わりに放課後は小学校に続いてサッカー部に所属して情熱を注いでいく。それはそれでとても正しいこと。そう、人生はどんな時でも今できることと向き合うことが大切だ。例え自分が望む好きなことができなくても、目の前にあることを好きになったらいい。必要なことは勉強するし、創意工夫をしていって、同じくらいの充実感が味わえるはずだ。反対に好きなことばかりにこだわっていると、自分自身の可能性を狭めて、ちょっとしたことでも不満を募らせるようになる。現状のマイナス面ばかりに目に入って、やる気がなくなって自滅しやすく、そのうちに負の連鎖に陥ってしまうのだ。成長するためのチャンスに優劣をつけてはいけない。人生の出会いにはすべて意味があって、発展するための種が隠されている。いつもこの真理を忘れていけない。なぜなら自分が気づかなかった才能を育むからだ。
私は若者のポジティブな発想の原点はこうやって養ってきたと思う。美術の世界へ一直線に進めなかったけど、大きく遠回りしたことによって、俯瞰して見ることに意味を感じている。さらに地味さや細かさに耐えること。作品制作をやっていく上で大事なことを美術以外から学ぶことができた。派手にバンバンやっていくのがカッコいいとか、おしゃれでクリエイティブだとは思わない。質実剛健。ただひたすら質の高い仕事をやっていくのみ!偉大なる先人や先輩の美術家たちの華やかな成功の裏には、こつこつと地味な活動があるのだと悟りつつある。イラストレーターは果てしなく創意工夫を続ける世界。新しい世界は根気から創り出される。それらは君の一番の武器。このまま辛抱強さを磨いて、創造力を広げて、深めて、面白みが増すように努力していきましょう!